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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』応援Blog2。ホームドラマを楽しもう。二人の文の健気とひたむき…。山田萌々香ちゃん_編

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話 ー人むすぶ妹ー

 

『花燃ゆ』。始まったばかりなのに、負け戦の様相を呈していますね。そうなると、いろんな所から「竹槍が…」。三日天下と言われた明智光秀関ヶ原で破れた石田三成の最後を見るようでつらい。
批判の嵐をひも解いてみると、「こんなの大河じゃない」的な、期待を裏切られたという思いの人が多いようです。しかし、不思議なことはその人たちが、ずっと大河を見続けていることです。別な見方をすると、そんな方たちは、この上なく大河を愛されているとも言えますね。今回の大河は、そのHPで「幕末のホームドラマ」とか「幕末の学園ドラマ」などと唱っています。だから、放映前からその辺への突っ込みが多かったように思えます。

 

詩の表現分類に「叙事詩(じょじし)」と「抒情詩(じょじょうし)」という形式がありますが、概ね、大河に期待している方は「叙事的」な表現を求められているかのようです。一方、「幕末のホームドラマ」とか「幕末の学園ドラマ」と唱っている今回の大河はどちらかというと「抒情的」表現に傾斜しているようです。しかし、それらは「表現形式」の問題であって、どちらも歴史を物語っていることには変わりはなく、従って、「大河ではない」という意見も成り立たなくなります。私は、勇ましいのも好きですが、「ホームドラマ」「学園ドラマ」も大好き人間なので、それらを楽しみながら歴史が味わえるというのも一興かと思っています。ここでは、二人の文(ふみ)のうちの山田萌々香ちゃんの健気(けなげ)とひたむきさが私の涙を誘った場面のいくつかを記しておこうと思います。

 

主人公の文(ふみ)はひどく人見知りをする子として登場します。同年代の子らともあまり交流がないようです。かろうじて、言葉を失っている弟の敏三郎だけが遊び相手です。そして、お兄ちゃんが大好きな少女として描かれていますね。そのお兄ちゃんが、寅次郎こと、のちの吉田松陰です。ドラマは放映されてしまったので皆さんはすでに詳細をご存知ですね。文の少女時代を山田萌々香ちゃんが演じて評判がいいですね。それと、「真央ちゃんにそっくり」という意見もあちこちで聞きます。どこかで見たことあるなあと思っていたのですが、調べてみると12歳だというのに、めざましい履歴ですね。恐れ入りました。

 

第1回のタイトルが「人むすぶ妹」。どうやら、この子には不思議な力が備わっているようです。それは日常に小さく姿を現した「超能力」とも言えます。この回は、文が、彼女の不思議な力で、小田村伊之助・大沢たかおさんと寅次郎・伊勢谷友介さんを結びつけるというシナリオです。
文が栗拾いのあと、沢ガニと戯れていると、川面を寂しそうにみつめる伊之助を見つけます。その伊之助、突然大声で叫び、泣きました。文はあまりのことに身動きできずにいました。目と目が合い、あとじさりする文。伊之助が声をかけるも声がでない文でした。さらに話しかけようとする伊之助を置いて、文は踵(きびす)を返して走り去ります。伊之助も去り、土手道に『甲陽軍監』がありました。『甲陽軍監』は敏三郎が拾い、持ち帰るのでした。

 

文は、敏三郎が拾ってきた書物の題字短冊の下に、もうひとつの題字を発見します。禁書である事を知りました。そして、書物には「海」の字が。「曰くある書物」と知った文は、敏三郎と共に書物を返しに「明倫館」へ向かい、書庫で捕えられてしまいます。叔父の玉木文之進は厳しく問い糾(ただ)しますが、文は固く口を閉ざしたままです。叔父の平手打ちが文の左頬を激しくはたきます。「ふみ、おじうえにおしえてあげんさい」と母、滝がとりなすも尚も口を開かぬ文でした。と、文之進は文の襟首をつかむと、縁側から庭へと放り出したのです。雷鳴が轟き、雨が降り始めました。母、滝は気づかうもなすすべがありません。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

敏三郎が拾ってきた書物の題字短冊の下にはさらに題字が…。兄から教わった「悪書」かもしれないと、胸が騒ぐ文。かろうじて「海」が読めた。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

河原で泣いていたあの人は「明倫館」で教えていたと言った。文は敏三郎を伴って書物を返しに明倫館へ忍び込むのだが…。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

ひたむきで一途な文と敏三郎。可愛いですね、この場面。キャメラを誉めるべきでしょうか? 

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

文之進に問い糾される文と敏三郎。河原で泣いていた「寂しい人」の名を出してはいけないと、一途に、口を閉ざす文。この場面の山田萌々香ちゃんの演技も見ものですが、小さな子を相手に感情も露(あらわ)な文之進を演じた奥田瑛二さんは、私が見た彼の演技の中でも絶品でした。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

文は、悪い事をしたのであれば、ひたすら「ごめんなさい」と謝る子でしょう。しかし、この時の文には罪悪感はあったのでしょうか? ひたすら「寂しい人」をこれ以上傷つけてはいけないという母性に似た感情があったのかもしれません。叔父上の厳しい追及にひたすら耐えるしかありません。口を閉ざすと目から溢れ出るものがありました。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

萌々香ちゃんは第1話で三回涙を流しています。特に、このシーンではじわりと溢れ出てきました。庭へ放り出されると、辺りは暗くなり雷鳴が轟きます。心細かったでしょうね。さらに雨が降り出します。闇が迫った中で少女は動く事もままなりません。止めどなく涙は溢れてきます。身につまされるシーンでした。

 

この辺りのシーンでしょうか、「周り(杉家の人々)が非情」だとかの批判の声がありました。しかし、玉木文之進の教育はそういものであったと見るべきでしょうね。そして、それは家族(杉家)の誇りでもあったかと思われます。だから、家族は見て見ぬふりをした。寅次郎も回想でそのことを語っています。親戚に、あの乃木希典(のぎまれすけ)がいます。乃木将軍です。その希典も玉木文之進の薫陶(くんとう)をうけたと言われています。文之進は萩で一級の教育者だったと思われます。後に松下村塾を開いたり、名代官と言われたりなど立派な仕事を成し遂げています。しかし、維新後は萩の乱の責任を背負って自害。乃木希典にその影を見る思いです。

 

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乃木希典維新後、軍人となって萩の乱西南戦争に従軍しました。日清戦争では歩兵第1旅団長として従軍し、旅順を占領。陸軍大将へ昇進。日露戦争では指揮を執った旅順攻略が難航し、一万五千人以上の兵が犠牲となりました。この時、乃木の二人の息子も戦死。明治天皇大喪の日の夜、妻静子とともに殉死。司馬遼太郎さんは「古武士」と讃えていました。

http://mononofu77.blog48.fc2.com/blog-entry-394.html

 

そんな折、寅次郎が遊学から戻ってきます。叔父と母から仔細を聞いた寅次郎は文と向き合います。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

人が怖いんは、おまえがちゃんと自分の目で人を見ようとしとるからじゃ。うまく言えんのは、おまえがまちごーたことが言えん正直者だからじゃ、おれにはわかるぞ。おまえは、よー人を見とる…、と寅にいから言われ、ようやく、心をひらく文。言い訳ができない、一途になっている時、自分を理解してくれる人の言葉に出会うと一気に感情がこみ上げてくるものです。文も例外ではありません。嬉しさ、哀しさ、寂しさなどがないまぜになった感情でした。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

本を持っとった人、ひとりぼっちで泣いとったから、誰にもゆーちゃいけんて…と、文。大粒の涙が頬を伝って落ちます。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

その人の事、守りたかったんか? やさしい子じゃのう、文は…、と言い、抱きしめる寅次郎。女性の方、こういうお兄ちゃんがいたらいいなあと思った事がありませんか? 少女時代に…。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

寅次郎は、そうじゃ、兄は九州でずっと見たかった本を見つけたぞと言って、懐から一冊の書物を取り出して見せます。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

兄が取り出して見せた書物には、あの時に見た「海」の字が…。

 

文は健気にも「あの人」を守り通しました。そして、兄があの人と同じ書物を持っていました。兄は言いました。

 

本は文字じゃない。
本は人じゃ。
聞けば触れる事ができる、他の人の考えに。
江戸におる人にも、外国におる人にも、とーの昔にのーなった人にも出会う事ができる。

同じく悩んで、同じく答を見つけようとした誰かがおって教えてくれる。
その人の目で見た世の中の人生のあらゆることを教えてくれる。
生きるにまよーとる者は、自分ひとりじゃない事を。
お陰で兄は天命を承け容れることができた。
人と出おーて兄は変われたのじゃ。

 

この時の言葉で文はある考えに思い当たります。兄と同じ「海」の字の本を持っていた「寂しい」あの人。あの人と兄は逢ーたがっとる、と思ったでしょうか。文は思い出のあの場所へ駆け出します。
ここまでの萌々香ちゃん、台詞は少なく仕草と表情が主な演技でした。俳優さん、中でも女優さんは自在に涙が流せるものなのですね。今更ながら感心しました。ところが、ここからは長台詞です。それも、「孟子」ですから、少女の台詞として似合わない? しかし、その分、不思議なシーンになっていました。

 

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庠序(しょうじょ)学校を…、と思いがほとばしり出る。

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夏には校といい、殷には序といい、周には庠といい、…

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…王者起こること有らば、必ず来りて法を取らん。
是、王者の師為るなり。

言い終わるや、少女は伊之助をいずこへか導きます。

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導いた先は明倫館。出会うべき人が出会えたことを喜ぶ。

以上、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

 

文が河原に行くと、思った通りにあの人(伊之助)が佇んでいました。口をきけずにいると、あの人が近づいて来、そして、文の頬が腫れ上がっているのを見つけます。「その頬、しばかれたんか」と言う伊之助。そして、深々と頭をさげ、すまんかったと言う。と、その時、少女の口から思わぬ言葉が…。

 

庠序(しょうじょ)学校を設け為して、以って之を教う。
庠は養なり、校は教なり、序は射なり。
夏には校といい、殷には序といい、周には庠といい、学は則ち三代之を共にす。
皆、人倫を明らかにする所以なり。
人倫、上にて明らかにすれば、小民、下にて親しむ。
王者起こること有らば、必ず来りて法を取らん。
是、王者の師為るなり。

孟子-滕文公上 3.1


訳:
庠・序・学校などをつくって人民を教育しなければなりません。
夏の時代には校といい、商の時代には序といい、周の時代には庠といい、そこで学ぶ内容はみな同じです。
このように上に立つ者が人の道を明らかにして教え導けば、人民は感化されて大いに国は治まるものです。
滕は小国で天下の王者となるのは難しいでしょうが、天下の者は必ず滕の政治を手本とすることでしょう。
そうすれば、王者の師となることができます。

http://shutou.jp/blog/post-2781/

*滕(とう):中国の戦国時代(紀元前403年~紀元前221年頃)に存在した小国。


文は「…是、王者の師為るなり。」と言い残し、走り出しました。それを追う伊之助。着いたところは明倫館。そこでは兄・寅次郎が「学問」について語るところでした。寅次郎を見つめる伊之助。その講義に我が意を得たりと思いました。ここに、生涯の友が出会ったのです。
この回は萌々香ちゃんに始まり、萌々香ちゃんで終わりました。まさに「ホームドラマ」でしたね。萌々香ちゃんが涙しただけ、私にも涙が…。

 

文の導きで出会った寅次郎と伊之助の二人は「学問とは」と言う命題にそれぞれの思いで答えました。
その言葉です。

 

寅次郎の言葉:
人はなぜ学ぶのか。
学ぶのは知識を得るためでも、職を得るためでも、出世のためでもない。
人にものを教えるためでも、人から尊敬されるためでもない。
己のためじゃ。
己を磨くために人は学ぶんじゃ。

 

伊之助の言葉:
人はなぜ学ぶのか。
お役につくためでも、与えられた役割を果たすためでもない。
かりそめの安泰に満足し、
身の程をわきまえ、
この無知で、世間知らずで、
何の役にも立たぬ己のままで生きるなど御免です。
なぜ学ぶのか。
この世の中のために、
己がすべきことを知るために学ぶのです。
私は、この長州を、日本国を守りたい。
己を磨き、
この国の役に立ちたい。
そのために学びたい。
まだまだ、学びたい。

 

このシーンは一転して、学園ドラマですね。久しぶりに「青春とはなんだ!」的、感動を覚えました。そして、もう一人の幼き俳優さんの一場面を忘れてはいけません。板垣李光人(いたがきりひと)くんです。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

玉木市之進の厳しい教えに耐えて、学問に目覚めた寅次郎。

 

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NHK大河ドラマ『花燃ゆ』第1話ー人むすぶ妹ー

何をしとるという市之進に、居住まいを正して「本の続きが読みとうなりました」と言う寅次郎。板垣李光人くんの寅次郎も凛とした演技は見事でした。学問とは何かを体得した場面です。

 

最後に、吉田松陰の好きだった孟子の一節でこの稿を終えます。

至誠にして動かざる者は未だ之れ有らざる也。
誠ならずして未だよく動かす者は有らざる也。

至誠而不動者未之有也
不誠未有能動者也

ー『孟子』の離婁上ー

 

訳: 
誠意を尽くして事にあたれば、どのようなものでも必ず動かすことができる。
逆に不誠実な態度で事にあたれば、何ものをも動かすことは決してできない。

次回は井上真央ちゃんの「ひたむきな」文を追ってみたいと思います。

  

—Akitsu

 

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