TV、テレビ、自転車ときどきキッチン

Team 片手業・TV : 新番組、第1話、時代劇、水戸黄門、視聴談など

『ごめんね青春!』って誰に「ごめんね」なの?『女はそれを許さない』ボクはあなたたちを許します。『ぼんくら』はなぜ「ぼんくら」なの?

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Doctor-X:みんなが言ってみたい「わたくし、失敗しないので」。

http://www.tv-asahi.co.jp/doctor-x/


今秋に新番組としてオンエアされた連続ドラマも、すでに続々と最終回となっています。結局、米倉涼子さんの『Doctor-X』が強く、一人勝ちで終わっちゃいましたね。比較的評判の良かった『信長協奏曲』(フジテレビ)もじり貧状態で終わり、『ごめんね青春!』(TBS系)に至っては、初回こそふた桁をマークしたけれど、最終回の視聴率は5.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)。TBS日曜劇場での最低視聴率を記録したとか。ちなみに、それまでのTBS日曜劇場での最低視聴率の記録は、オダギリジョー長澤まさみ主演『ぼくの妹』でした。『ごめんね青春!』の脚本を担当した、『あまちゃん』の脚本家クドカンこと宮藤官九郎氏も頭を抱えたとか。外野からいろんなコメントが寄せられていますね。「関ジャニ∞が、潜在視聴率を持っていない…」とか、『ソロ活動が弱い関ジャニ∞では、数字が取れない』とか。「劇中に散りばめられた細かいギャグに対し、好みが分かれてしまう」などとも。私も、おおむね、そのように思います。

 

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ごめんね青春!:タイトル解題「青春なんで、ごめんね、許してね」だそうだが…。

http://www.tbs.co.jp/gomenne_tbs/


このドラマ、初回の印象が悪かった。物語の主人公は『放火犯?』ですから。他の犯罪であれば多少、印象も違うのでしょうが、江戸時代から「火付け盗賊」は大罪とされています。シャレになりません。それをずっと引きずってドラマは展開します。そんなシチュエーションで、いくら名手クドカンの「ギャグ」でもしらけてしまいます。加えて、最初の頃はうるさ過ぎたですね。回が進むにつれて視聴率は落ちて行きますが、私は反比例的に面白くなって行った印象です。なぜなら、「放火犯」というイメージを消しながら観たからです。それは、このドラマにそうするだけの魅力があったということでもあります。満島ひかりさんの演技がこなれて行って、とても面白くなっていきました。またドンマイ先生こと淡島舞役の坂井真紀さんがシュールでよかったです。最初の頃から面白かったのに、私が気づいていなかったのか、それとも回を追うごとに面白くなって行ったのかはさだかではありませんが、ひとつだけ言えるのは、私の場合は努力して「放火犯」や「雑音(ギャグ?)」を受け容れることができたけれど、それはそれで視聴者が離れて行く原因であったとも思います。クドカンさん、自分の感性が時代からズレているのではないかと悩んでいるそうですが、そうではないと思いますよ。あなたのギャグは面白い。次回はきっと持ち直してくれることを信じています。

 

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女はそれを許さない:背筋伸びきり女子二人の健闘虚し。

http://www.tbs.co.jp/yurusanai2014/


さて、私が大好きな女性が二人も、それも主演で出るというので期待していた『女はそれを許さない』(TBS)。このドラマも平均視聴率たるや無惨。6.2%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)ですって。深田恭子寺島しのぶ。さて、どちらを前に記するかで迷いました。結果、TV広報に従って並べることに。役者としては寺島さんが一枚も二枚も上手ですが、雰囲気というか主役級というオーラは深田恭子さんが僅差で勝っています。ともかく、この二人の立ち居姿は美しいと思いました。深田恭子さんの立ち姿を横からカメラがとらえて、彼女が飛び立つジャンボに「グッデイ」というシーン(TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜フジテレビ)にはしびれました。その彼女、ファッションデザイナー桂由美さんのモデルを経験していたのですね。背筋が伸びているのも道理です。

 

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剣客商売藤田まことさんのご冥福をお祈りします。

この20年で最高の時代劇でした。

http://blogs.yahoo.co.jp/ichikakenikake/archive/2011/11/23


一方、寺島しのぶさんは『剣客商売』の三冬が良かった。第4シリーズからの登場でしたね。第3シリーズまでは渡部篤郎さんの秋山大治郎、大路恵美さんの三冬でした。二人の出会いから恋心に目覚めるまでの期間を演じています。大治郎が、山口馬木也さん、そして寺島しのぶさんの三冬に代わった時には、正直、がっかりでした。が、これが案に相違して良かった。特に、二人ともに立ち回りに筋が入っていて「本格もの」という印象を持ちました。で、この寺島しのぶさんてどういう人? と思ったので調べたら、なんとなんと、お父さんは歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎さん、お母さんは女優の富司純子さんというサラブレッド。知っていますか? 大昔、NHK大河『源義経』で、義経静御前を演じた二人です。しのぶさんは、さぞかし、乳母日傘(おんばひがさ)で育ったのだろうと、半ば嫉妬心を交えながらの感想を持ったのですが、豈図らんや、彼女が出演した『情熱大陸』(TBS・2003年)では「歌舞伎の家では男は大事に育てられますが、女は…」と、言葉を濁し、普通に育ったことを語っていました。彼女はプロレスが好きだとか。関係あるかどうか、背筋の伸びた歩き方に素性が偲ばれます。

 

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半沢直樹:観たくない、観ちゃいけないと思いながら全部観ちゃいました。

http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/


さて、そんな二人が共演したドラマがなぜ惨敗だったのか。いろんな人がいろんなことを言っています。特に深田恭子さんへの風当たりが強いですね。しかし、評論とか評価というレベルのものはありませんね。表情が同じとか演技が下手だとか、そんなのばかりです。演技で視聴率が取れたらプロデューサーは悩みません。演技のうまい人を抜擢すればいいのですから。しかし、事はそんなに単純ではありませんね。このドラマに対する感想で、ひとつだけ興味ある意見がありました。「なんだかなぁ。…、とにかくスカっとするような感じだったら見続けようかなぁ。」と言うものです。これが現在の視聴者が求めているものなのではないかと思いました。それこそ、「倍返し」の『半沢直樹』であり、「失敗しませんので」の『Doctor-X〜大門未知子〜』のパターンですよ。しかし、『女はそれを許さない』はそれを狙っていませんでした。

 

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とんび:毎回、涙。

http://www.tbs.co.jp/TONBI/


スポニチ(Web)は「過去のトラウマから法廷に立てなくなったペーパー弁護士(深田)が寺島しのぶ(41)扮する、強引な手法を使って弁護士会を追われ、弁護士活動ができなくなったアラフォー女性とタッグを組み、活躍するヒューマンドラマ」(2014年12月24日 11:31)と紹介しています。つまり「ヒューマンドラマ」なんですね。ヒューマンドラマで「スカッと」することはあまりありません。「ほのぼの」「やんわり」「ほかほか」「ほっこり」などが似合っています。このドラマは見ていて、その辺がはっきりしていなかったですよ。法廷劇で相手をやっつけるなら「スカッ」としたでしょうが、それはそこそこ。では人と人のぬくもり感はというと、かつて、TBSの日曜劇場で放映された『とんび』(TBS・ 内野聖陽佐藤健)ほどではなかった。不器用な男が周りの人々に支えられながら男手ひとつで息子を育て上げるというドラマでしたが、特に、周囲のひとたちのあふれる愛情には、痛いほど胸を締め付けられました。つまり、『女はそれを許さない』は『半沢直樹』や『Doctor-X〜大門未知子〜』ほどスカッとしないし、『とんび』ほどには温かくはなれなかった。結局、どっちつかずで視聴者の求めに応えることができなかったのではないでしょうか。キャスト、脚本、演出のどれをとっても悪くはないんです。しかし、そこそこなんですよ。それが、先ほどの「なんだかなぁ。…、とにかくスカっとするような(ドラマが観たい)」というコメントになっていると思います。とは言え、視聴率はともかく、いろんな人のいろんな意見もともかく、私は結構楽しみました。

 

最後にどうしても触れておかなければならない「おちこぼれ」番組があります。以前にも少し語っていますが、『ぼんくら』(NHK)です。最終回までを観て、ホント、このドラマを作った人は「ぼんくら」だと思いました。ちなみに「ぼんくら」って、最近はあまり聞かなくなった言葉ですね。差別用語にでもなっているのでしょうか。

 

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ぼんくら:43分が睡魔との戦い。

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/bonkura/


感想のひとつは、岸谷五朗さん、あなたは下手過ぎます。岸谷五朗さんを主役にしたプロデューサーさん、あなたも「ぼんくら」です。岸谷さんの出演したどういうドラマを観て主役に抜擢したのでしょうか? ドラマの中の「ぼんくら」を演じるのに、ホントのぼんくらを使ってどうするの? って感じですよ。昔、暇を持て余した同心役を舘ひろしさんが演じて、いい味出していました。(『物書同心いねむり紋蔵』NHK)せめて、館さんは使えなかったのでしょうか? 岸谷さんは、間のとりかたを勘違いしている役者の一人ですね。一層の精進を願っています。

 

二つ目は、脚本。尾西兼一さん。あなたも「ぼんくら」です。尾西さんの作品は結構楽しませていただきました。特に、『はみだし刑事情熱系』(テレビ朝日柴田恭兵)は、感動で随分泣かされました。 その時に刑事役で出演していた中山忍さんははみだし刑事情熱系でブレイクしたようなものですよね。そして、もうひとり。 床嶋佳子さんも犯罪者の妻であり、後に若い刑事に惹かれる人妻役をいい感じで演じていました。床嶋さんはその頃から急にTVで見かけることが多くなりました。尾西さんの脚本でないと、この二人の演技は際立たなかったのではないでしょうか。尾西さん、あなたは『はみだし刑事情熱系』では立派な仕事をしましたね。しかし、それも過去? のことでしょうか。原作(宮部みゆきワールド)がある分、難しかったのかもしれませんね。あの世界を感じ取っていますか? 理屈やひな形に入れた作りにしていませんか? そして、今回のこの作品全編にはリズムがないし、メリハリがなかった。極めつけは、第九話「土の中で眠る女」と、最終話の「さよなら鉄瓶長屋」では、謎が解かれていくのですが、ほとんど紙芝居ですね。第九話は井筒平四郎(岸谷五朗)と政五郎(大杉漣)の退屈な謎解き会話が延々と続きます。下手な二人にあれだけしゃべらせては視聴者はいたたまれません。そして、最終話でも、井筒平四郎(岸谷五朗)と湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の間で、全く同じ過ちがくり返されました。俗に2時間ドラマという事件ものがありますが、最後の15分を観れば分かると言います。風光明媚な海を背景にした断崖で、犯人と探偵の間で事件の謎解きが行われます。あれと同じ。この「ぼんくら」は10話ありましたが、最後の2話を観ればストーリーは分かるというものです。ではそれ以前の8話は、雰囲気を醸し出して、映像的に観る人を惹き付けたのかというと、少なくとも私は、43分間が拷問に思えていましたよ。ちなみに『日本語俗語辞典』に「ぼんくら」とは、「盆暗と書く賭博用語で、盆の中のサイコロを見通す能力に暗く、負けてばかりいる人のことをいった。ここから、ぼんやりして物事がわかっていないさま、間が抜けたさま、更にそういった人を罵る言葉として使われる」とあります。視聴率を論じる以前に、原作に暗い「ぼんくら」なドラマでした。ただでさえ「時代劇」冬の時代に、こんなバカやっていると、ホントに日本文化を失っていまします。

 

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風の峠:観るのが怖い。どうぞ、良い出来でありますように…。

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/ginkan/


NHK木曜時代劇の次回作は『風の峠〜銀漢の賦〜』(中村雅俊柴田恭平)らしいですが、是が非でも名誉挽回して欲しいものです。

 

 

—Akitsu

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